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はるはあけぼの ヨガDiary

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聖 家 族

もう20年以上前になります。
当時学んでいた心理療法の、泊りがけのワークショップがありました。
その日は箱庭療法を、参加者全員が行いました。
先生は、関東では箱庭療法の権威というM女史(故人)。
箱庭療法とは、砂を入れた箱に小さな玩具や人形を並べることで、心理的な問題を解決していく治療法です。
その時の箱庭は、60cm×90cmはあったと記憶しています。
選ぶ玩具もかなり沢山ありました。

「こうしたものを作ろう」という意図があるとそれは創作になって、箱庭療法ではないのです。
仮に意図があっても、作っていく間に、自分の思いがけない物が出来上がっていくもの。
意図の通り作れたら、その作った人はかなり自己防衛が強いという事。
わたしは箱庭療法の専門家ではないのですが、このように把握していますし、
その時もそう考えて取り組みました。

最初はきっかけが必要ですから、意図は最小限度いります。
でも、「降りてくるもの」に任せたい、という気持ちに従っているうちに、
段々自分の意思でやっているのではなく、顕れてくる力によって作り出していました。
夢中でした。
終了に制限時間があったかは覚えていません。
終えた時、「あーっ、気がすんだ!!」と爽快でした。
溜まっている意識化できないものを吐き出した、という感じ。
ここが箱庭療法の特徴かもしれません。
言語化出来ないものを表現出来るのです。

さて、これは学習者のワークショップですから、作り終わるとすぐM女史の診断がありました。
私自身が見て重きを置いたと思うところは、その感想を黙って聴いてくださいました。
そして、無意識に置いた、気にも留めていない、3体ほど置いた聖人の人形を見てM女史は、
「これは聖家族を表していますね。この気持ちを忘れないで、大事にして下さいね。」
と言ったのです。
「聖家族って、一体なんのこと?」
私は、当時両親と住んでいました。独身で、会社勤めをしていました。
家族・・・一見普通の家庭です。取り立てて仲が良くも悪くもない・・・。
でも親子関係が、私が心理療法を学び始めた動機だと、臨床の場でこの後気がつくのですが。
「聖家族」という言葉は、すぐ忘れてしまいました。



聖 家 族_b0237103_057576.jpg


それから数年して、父親を介護する事となり、10年ほど経ち、母も介護が必要になって、
介護が私の生活そのものになりました。
離れて暮らす兄も、時々家に来るようになりました。
介護について何冊も本が書けるな~という状況になってきて、ふとあの言葉を思い出しました。
「この状態が、もしかして聖家族なのかな?」
介護を通して、親子関係を見直し、自分の生きる意味を考え、人が生きる意味を問い、
介護に関わる人たち(プロの)との関係の中で生き方を学ぶ、そんな日々でした。
親には感謝しました。
一般的には悲惨と言われる介護に、光を見出した・・・。
こんなに重い生きることを、与えてくれてありがとう・・・。
偽りのない、思いでした。

そして、両親が亡くなって、しばらくまた、その言葉は忘れ去られていました。
「聖家族」
もう両親がいない自分には、必要のない言葉だと思ったのです。
でも、一昨年、かなり落ち込むことが起きました。
その時とても心配してくれた、ヨーガ塾の先生やMIWAKOさん。
まるで家族みたいだ・・・・。

それから、間もなくして行ったシヴァナンダアシュラムで、
あるスワミジにダルシャン(1対1の質疑応答)をしていただきました。
その時、真っ先に、「ワンネス=Oness」について質問をしました。
ヨーガの最終目的は、全ての意識は一つだと理解することです。
嫌なことが起きていたその時の自分は、頭で理解してるだけの「ワンネス」について
質問とも悩み相談ともつかない問いを、スワミジに投げかけていました。
「ワンネスはヨーガの最も高いステージです。難しいことです。毎日瞑想しなさい。」
と言われました。
最も高いステージと聞いて、かなり気が楽になりました。
その時から、「聖家族=ワンネス」と考えるようになったのです。

昨日、ラマナ・マハリシを愛する人たちの集いがありました。
5つの鞘(パンチャ・コーシャ)の話しが出ている、ラマナの「トークス」を読みました。
そこから、5つの鞘の外側に「真我」が広がっている、という話しになりました。
鞘の一番中心は、アンナマヤ・コーシャ。肉体の鞘です。
それからどんどん、外へ行くほどに精妙な鞘になっていく。
「すると、真我はみなつながっているのですね?」と誰かが質問をしました。
「あっ、聖家族だ!!」 
そう思いました。真我のイメージがとても明瞭になった瞬間です。



聖 家 族_b0237103_059798.jpg

by haru-ha-akebono | 2012-01-15 01:06 | わたしは誰か?Who am I?