今日は立春です。暦の上では春。
今年は寒さが厳しく、梅が開花しないと新聞に書いてありました。
そう言えば、1月終わりに咲く蝋梅も、今年は開花はまだだとか。
「枕の草紙」は、「冬はつとめて・・・」から「春はあけぼの・・・・」になるのでしょうに。
先日、「ヨーガスートラを学ぶ会」にいらしていた方に、ヨーガ教室の名刺を渡すと、
「なぜ、『はるはあけぼの』、なのですか?」と聞かれました。
「私のメールアドレスだから」と、答えにもならないようなことを言ってしまいました。
「はるはあけぼの」をメールのアドレスに設定した頃、朗読を勉強していました。
メールが出来るケータイ電話に変えた時、朗読教室で「枕の草紙」をやっていたのです。
メールアドレスは最初、ケータイ電話会社の人が設定してくれたのですが、
帰宅してすぐ、自分で変更しました。
春でも夏でもよかったのですが、やはり冒頭の「はるはあけぼの」にしました。
朗読を始めたきっかけは、視覚障害者のための音訳テープを作るボランティアを始めたからです。
親の介護をするようになって、会社勤めを辞め、何か家で出来ることはないかと考えました。
朗読を選んだのは、たまたまNHKのテレビ番組で、朗読をしていたのを観て、
「やってみたいな」と思ったから。
それから間もなく、色々な縁で、朗読を学ぶことになったのです。
某放送局の外部機関の朗読教室。
ちょっと学ぶつもりが、始めてみたら・・・・。あまりの難しさと奥の深さに、はまりました。
その教室との縁で、音訳テープを作る朗読グループに入ることになって、活動を始めました。
ここでの活動の傍ら、朗読の技術とセンスの向上に、教室にも通いつづけたのです。
介護の事情(つまり病人の事情)が変わるたびに、音訳グループを休会したり、
教室をしばらく休んだりしました。
教室は、基礎的なコースが終わると、ずっと通うことが出来るクラスがありました。
セミプロの朗読家や、地方のアナウンサーも通ってる、すごいクラス。
先生が、また厳しいのです。
「趣味でも本気でやりなさい。教える方も本気でやる。」
朗読を愛する先生の姿勢に惹かれるまま、続けました。
朗読は、本に書いてあることを読んでも、他人には伝わらないのです。
自分の朗読をテープに録音して初めて聞いた時の驚き!
こんな声で、こんな話し方をしてるのか・・・・!?ショック。
私の場合、声が低いので、意識せず通常の声で朗読をすると、とても陰々滅滅に聞こえるのです。
まず、高い声を出すことが課題。
それから、その低音ゆえか、母音が伸びるので、意味が上手く伝わらない読みになってしまう。
沢山のハードルがありました。
みんなに「声がいい」と言われますが、先生は「声のいい奴は上手くならない」、と一言。
また、がっくり!!
そこの教室では、1年に2回、みんなの前で読む、発表会があります。
講師の方が何人かいて、クラスも何クラスかありますので、聴衆は100名くらいになる発表会です。
通った15年の間に、3回ほど出ました。行けない時代もあったので、少ないです。
両親が亡くなり、家にいなくて良くなったことと、もっとヨーガを深めたいと、朗読とは距離を置きました。
沢山の人の前で話をすることが出来るようになったのは、この時のおかげ。
ヨーガを教えるようになって、あがらず人前で話せるのは朗読のおかげ。
でも、もう人前で朗読をするだけの技術は衰えてありません。
やっていないから。それぐらい、厳しいものです。
「春はあけぼの」を教わった時、こう言われました。
「春、と書いてあるからと言って、そのまま読むな。今、初めて、「は」と「る」を紡ぎ出しなさい。」と。