昨日、横浜寿町の「炊き出しの会」に行って来ました。
第4金曜日で、日本ヴェーダーンタ協会のナラ・ナーラーヤナ活動の日です。
しかし、明日九段下のインド大使館で
「ヴィヴェーカーナンダ生誕記念祝賀会」があり、
いつも支援に行くナーラーヤナ活動のリーダーのSさんや協会の事務のMさんはそちらの準備のため、
協会からは物的支援のみということになっていました。
先月初めて活動に参加したわたしは、一人で「炊き出しの会」に行ってみることにしました。
いつもホームレスの方たちに配食している雑炊はどのように作られるのか、
手伝えることをしようと、午前10:20頃に炊き出しをする公園に到着しました。
配食は13:00からで、雑炊のための様々な準備や野菜切りは、朝7:30から始まるそうです。
ちょうど雑炊のための野菜を大きな鍋に煮始めていて、それを手伝うこととなりました。
現場の責任者の由良さんの指示で作業は廻っていきます。
直径60~70cm(正確な大きさは伺ってきませんでしたので、おおよそです)ほどの大きさの
鍋が3つ掛けられるガス台があり、一度に3個の鍋を煮ます。
この鍋7つ分の雑炊を作るのだそうです。
長くボランティアをしている女性からやり方の指示を受けながら、
大鍋に野菜を入れたり大きな柄杓でかき回したりしました。
他に男性のボランティアさんが2~3人いて、あっと言う間に大きな鍋には
調味料や炊いたご飯が投入され、完成すると巨大なポリバケツに入れられました。
鍋7個分の雑炊が出来るのは11:50頃。
出来上がるまでの間に、今日配る夏蜜柑や、缶コーヒーをいただきました。
由良さんは、先日ヴェーダーンタ協会にホームレス支援の話をしにいらした
「炊き出しの会」の近藤さんと同じ、寿日雇い労働者組合の方です。
肉、野菜、調味料などを購入するための資金や、物資をカンパしてくれる方々のことなどを伺いました。
作業しながらでしたので詳しくは覚えていないので、そのことはまた次回書きます。
わたしがいただいた甘夏蜜柑は、広島在住のサブラカ農園から寄付された無農薬の物だそうです。
毎年送ってくださるとか。
そして、先月も見かけて印象にあった女性に話しかけました。
首が全部隠れる覆いがついたリバーシブルの素敵な帽子を被っているのです。
何処で買ったの?と聞くと、農協で、との答え。
この頃はマラソンをする人用にスポーツ用品店にもあるそうです。
必需品だと思いました。
これから暑くなると、ガス台周りの仕事は大変なこと、日焼け対策も必要、
寒い時は食器洗いは大変なこと、などなど伺いました。
昨年夏、脱水症になって倒れた由良さんの話も人事ではないと思いました。
そして、配食までの昼休み、公園ではラジオ体操が始まりました。
参加しているのは、今日ボランティアに来た神奈川県内の女子中学生や大人のボランティアがほとんどで、
配食の列を作っているホームレスの方々は見ているほうが多かったようです。
ガス台の前でわたしに作り方を教えてくれていた女性が
「寿町に来た記念に是非体操して行って」と言うので、やりました。
やはり一緒に煮炊きをしていた皆に「親方」と呼ばれている男性が、前に出て見本を見せます。
第1、2の体操と、氷川きよしの「ずんどこ節」に合わせた体操です。
楽しんで体操していると、それまでパラパラとしか降っていなかった雨が傘が必要なほどになってきました。
急いでフードの付いたパーカーを着ると、そろそろ配食です。
中学生のボランティアさんたちは40名で、プロテスタントの女子学校なのだそうです。
先月は協会のSさんと一緒に行ったヴェーダーンタ協会の支援物資であるバナナ配りを、
今日はこの中学生たちがするため、配り方を説明しながら一緒に行いました。
今日は、先ほどいただいた甘夏蜜柑も一緒です。
まず、雑炊を配る台があって、それから果実を渡す台があります。
雑炊を配るのも、食器を洗うのも、今日は中学生さん方です。
雨は本降りではないけれど、でもテントを出すほどでもなく微妙で、
フード付きの上着ではないホームレスの人たちは濡れながら、食事を摂っていました。
傘をさすと、食べられないいからです。
何回並んでも自由なので、夕食の分も並ぶ人もいます。
また、事情があって出て来られない仲間のための分も貰う人もいます。
果実は、バナナは人気ですが蜜柑はそうでもありませんでした。
協会からは、毎月バナナ400本を支援しています。
中学生ボランティアさんのおかげで、配食が済む頃は食器洗いもだいたい終わっていて、
果実がなくなったところで、わたしは終了にしました。
ここに到着した少し後に由良さんから、午前中に来たら雑炊が出来上がったら帰る、
午後来るなら配食の始まる13:00に来て終わったら帰る、
のどちらかにしてくださいと言われました。
無理をすると続かないから、とのこと。
帰りにも同じことを言われました。
終了して、向かいの寿生活館の中の労組の事務室にいる近藤さんに挨拶に行きました。
毎年作っている、「報告集」の18次2009年9月~2010年7月と
第19次2010年9月~2011年7月をいただきました。
近藤さんは、食事が出来上がる頃になると、大きな拡声器を持って、
炊き出しがあることを呼び掛けに、出掛けて行くのです。
20日(日)のヴェーダーンタ協会の例会で、
スワミ・メダサーナンダ・ジが近藤さんを紹介する時に、こう言われました。
「近藤さんには、もう瞑想もジャパも必要ありません」
瞑想やジャパは霊性の修行、心や魂の浄化の訓練です。
それをもう必要としないとおしゃったメダーサーナンダ・ジの言葉は、真実だと思います。
その例会の時もそうでしたが、なんの気負いもなく、自然にこの行為をしていることが伝わるのです。
そしていつも明るいです。
「炊き出しがなくなる世の中になって欲しい」と例会で話されていましたが、
ホームレスは増え続けているそうです。
バブルがはじけて職を失い、再就職出来なければホームレスになるしかないのです。
誰でもホームレスになる可能性はあると、例会での話を聞いた時に思いました。
この、沢山の人手が必要な炊き出しを19年続けている近藤さんたち。
先の見えない仕事を、自分たちのことは何も主張せず続けていることは普通は出来ないことです。
「自分が、自分が・・・」と、人の気持ちは思いやらずに前に出て行く人が多い現実の中、
胸を打たれるものがあります。
また、由良さんやボランティアの方々みんな、明るく冗談を言いながら、
自分がすることをしている・・・・。必要なことをしている・・・・。
それが自然で、みんな当たり前のように楽しそうにやっています。
一人でやや緊張してやって来たわたしも、終了後はとても明るい心持になっていました。